豊後水道往復 2社乗り比べの旅 - 1

フェリーさんふらわあ

《さんふらわあ ぱーる》の新船室体験  

2016年9月17〜18日 神戸六甲⇒大分

■中九州エリアでフェリーざんまい

 四国の西の玄関口・八幡浜からは、別府と臼杵という中九州エリアの主要な2港に向けた航路が出ている。双方とも宇和島運輸フェリーが、また後者には九四オレンジフェリーを加えた2社が就航している。今回は、これらを組み合わせて、豊後水道を東西に往復しながら乗り比べてみようという趣向である。両社ともほぼ終夜運行しているので便数も多く、乗り継ぎのスケジュールも比較的立てやすいと思われた(実際はそうでもなかったが)。
 また現地までのアプローチは、「フェリーさんふらわあ」の2航路(神戸〜大分、別府〜大阪)を往復で乗り替えて、特長を比べながら楽しむことにする。
 全体の行程は次のようになる。

  
《1》神戸→大分(西航)  《2》別府→八幡浜(東航)  《3》八幡浜→臼杵(西航)  《4》別府→大阪(東航)

 合計で4レッグのフェリーざんまいである。


 まず往路は、神戸六甲フェリーターミナルから出発。19時50分発の大分行きには、今年2月から新たな船室として「プライベートベッド」が設けられており、これが今回の楽しみのひとつである。今日の配船は「さんふらわあ ぱーる」。僚船の「さんふらわあ ごーるど」とペアを組む。
 
JR住吉駅から神戸フェリーバスでさんふらわあ前に降り立つ。このターミナルの利用は2回目で、1回目はこの6月、隣のバースに発着する阪九フェリーへの初乗船だった。
  時刻はまだ午後5時過ぎで発船まで3時間近くあるが、3連休の真っ只中でもあり、車両待機場は乗船待ちの車両で次々と列が埋まっていく。夕陽の残るうちに、と桟橋周りで撮影を済ませてからターミナルに入ると、発券カウンターもすでに長蛇の列となっていた。



  
多客期は手続きに時間がかかる。
早めに港へ行きましょう



さんふらわあ ぱーるの雄姿。
自分の乗る船はひときわカッコいい

隣のバースは阪九フェリー。
6月に乗った「つくし」に再会


「つくし」のおしり。
やっぱりでかいわ

こちら「ぱーる」もなかなかのもの


こういうパーツを間近から見ると
建造の苦労がしのばれます



発船1時間前、チェックインのピーク。


やがて陽も落ちて
乗船開始が近づきます

■乗船します

 15分ほど並んでチェックインを済ませ、2階の待合室へ。座る場所はほぼ埋まっている。三連休とはいえ、これほど賑わっているフェリー乗り場を見た記憶がない。喜ばしいことではある。
 ここで、本来なら発船19時50分の1時間前から乗船開始となるところ、「潮が高く、タラップがかかりにくいため乗船開始が遅れる」旨のアナウンスが。後で調べると、この日はちょうど大潮で、しかも19時33分の満潮に向けて潮位が上昇中のタイミングであった。結局予定より10分ほど遅れて、19時ごろ乗船が始まった。

 乗り込んでみての第一印象は、思っていたよりもきれいでインテリアのセンスもいい、ということ。就航後7年ということだがまだめだった傷みもなく、これなら快適に過ごせそうだ。
 昼食が満足に取れていなかったので、まずは夕食をすませてから、デッキで出港風景を眺めよう・・・と思っていたが、船室に荷物を置いてからレストランに来て見ればすでに長蛇の列。乗船開始が遅れたこともあり、これでは出港に間に合わない。とりあえず空きっ腹のまま急いで風呂で汗を流し、缶ビールを購入してデッキに出ると、すでに繋留ロープははずされ、本船は静かに岸壁を離れつつあった。




ターミナル3階の乗船口。
長い搭乗橋を歩くことはなく、
ほぼまっすぐ船内へ進みます

パーサーはじめスタッフの出迎え。
右端に少し写ってる人は誰?
答えは後ほど。



乗船早々、レストランは長蛇の列。
活気があるということはいいことだが
今から並んで食べていては出港風景を
デッキから眺められない!!

しかたがないので先にお風呂。
乗客が多く、内部を写すチャンスが
ありませんでした


定刻19時50分に出港。
20時発の「つくし」のデッキからは
ライトを振って見送ってくれる人が。
こちらも手を振って答礼


船旅ってロマンチックですよねえ。

お月さまも見送ってくれてます、
でもなにやら雲行きが怪しい



それもそのはず、明日は雨!
九州には台風16号が接近中です



出航を見届けてからレストランへ。

欲張りバイキングにビール。

食べているうちに明石海峡を通過。
箸を休めて窓越しに一枚

シメはゆかりご飯とお味噌汁。


■お目当ての「プライベートベッド」をチェック!


 いよいよ、今宵の宿「プライベートベッド」のお話を。いわゆる「2等寝台」クラスにあたるが、最近の新造船ではお馴染みの階段式で上段ベッドへ楽に出入りできるだけでなく、テレビやアメニティの充実が図られており、このクラスの設備面ではいま最も進んでいるといってもいいかも知れない。
 ただし、価格もそれなりのもので、他社の北九州航路なら同程度の出費でシングルの個室に泊まれる。

それでは、中央通路を進んで6804号室へ!







チェックインして受け取る乗船券(上)。
さらに相部屋のドアはオートロック式
のため、使い捨てのカードキーも
一緒に渡される(右)

6階のフロア図。指定された6804号室は中央通路後方の右舷側


案内図通りに進んでお部屋を発見

カードキーを差し込んで解錠。
部屋を出る時に忘れると、同室の
人が戻るまで廊下で立ち尽くす
ハメになります(筆者経験済み)

もとツーリストクラスの大部屋を改装し、
上下各5ベッド、計10ベッドを効率よく
配置。(写真ピンボケです)


着替え用スペースとコインロッカーも
完備


私のベッドはここ。
温かみと質感のある内装です


相部屋ながら、ベッドごとに
テレビや空調吹き出し口が完備

リモコンやイヤホン、照明類。
写っていませんがタオルや歯ブラシも
備わっています







■船内風景・設備

ロムナードで始まったジャグリング。
乗船時の写真に写ってた人です
(5F)

メイン階段。2本のらせん階段が
組み合わさったユニークな構造
(5F)

ゲームコーナーは不夜城。(5F)

インフォメーションコーナー。
航路図には往年の寄港地である
松山がそのまま残されています(5F)

大きな一枚鏡の洗面所

トイレは当然シャワー式。
少々ちらかってますが
・・・

大浴場の終了後もシャワー室が
使えます

売りのひとつ「ウィズペットルーム」は
6Fの最後尾に6室。一般客室とは
区画が離れていて鳴き声が漏れない


乗ったら一度はやらずにはおれない
マッサージ機(6F)

週末に乗るといろいろあるようです。

営業努力していますね。

展望デッキは悪天候で閉鎖に。
とはいえ、そんなに揺れるほどの
荒天ではありませんが



■大分に初上陸


  快適なプライベートベッドと、お行儀よく物音ひとつたてない相客のおかげで熟睡し、翌朝は5時前に目が開いた。テレビに映し出された現在地は、すでに豊後水道の真ん中へ乗り出そうというところまで来ている。
 神戸発金曜・土曜便の大分到着は7時20分と、早すぎない適度な時間。ゆったり朝食と休息をとるうちに別府湾に入り、定刻に大分港へ到着して、これで1レッグ目が完了。
 これから2レッグ目の八幡浜行き宇和島運輸フェリーに乗るため別府に向う。最寄のJR西大分駅まで10分ほど歩くつもりだったのだが、何の魔が差したのか、下船間際の船内放送で大分駅行きの連絡バスの案内を聞いていた私は、何の迷いもなくそのバスに乗った。
 別府へ行くのに、西大分駅と大分駅では方向が間逆である。発車してから気づいたが、もう仕方がない。旅先では常に舞い上がっているので、こういうハプニングが起こりがちだ。この先さらに何が起こるか、楽しみではある。




普段から平日は5時半起床だが、
旅に出るとひときわ早起きになる



この日のレストランは5時45分に
オープン。さっそくGO!



しっかり朝ごはん!
朝から呑めるのも旅先ならでは


天候も西から回復してきました

入港までゆったり過ごします


大分港に入る頃、別府行きの
さんふらわあもやってきました



ついに降りるときが来ました。

ひときわたくさんの乗客も

クルーの見送りを受けて

三々五々散っていきます

楽しい一夜をありがとう!

乗るはずじゃなかったバスに
この後乗ってしまったのでした

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kakko